2023年7月にMeta社がローンチした新SNS「Threads(スレッズ)」。当初は「Twitterの対抗馬」として急速に話題になったものの、実際に使っている企業や個人はまだ少数派です。では、本当に今から始める意味はあるのでしょうか?
本稿では、Instagram運用の延長線にあるThreadsを「企業SNS担当者」の視点から特徴、メリット、導入ステップまでを丁寧に掘り下げていきます。
Threadsとは?特徴と他SNSとの違い
ThreadsはInstagramと連携する形で使えるテキストベースのSNSです。Instagramのアカウントを持っていれば誰でも利用でき、投稿は最大500文字まで、画像(最大10枚)や5分以内の動画、リンクも添付可能です。
実名・顔出しアカウントが多く、Instagram由来の空気感を引き継いでいるため、匿名性が高く攻撃的になりやすいXと比べて、会話のテンションが穏やかなのが特徴です。一方、現時点では検索・ハッシュタグ・トレンド探索機能が限定的で、DM機能も存在せず、投稿の拡散アルゴリズムも不透明といった制約があります。
Threadsを活用すべき理由
企業にとってThreadsは、Instagram時代における“言葉による親しみやすい会話”を実現する新たなSNSチャネルです。競合が少ない今のうちに参入することで、ユーザーとの関係性構築や情報発信の新たな地平を開くことができます。
Instagramのつながりをそのまま活かせる
ThreadsはInstagramアカウントと連携しているため、ゼロからフォロワーを集め直す必要がありません。プロフィールや投稿の雰囲気も引き継げるため、スムーズに使い始められます。
カジュアルなコミュニケーションに最適
画像に頼らず気軽に日常の発信ができるため、“素のブランド”を表現しやすく、ユーザーとの距離も縮まりやすい。社内のちょっとした出来事や舞台裏の共有にも向いています。
競合が少ない今がチャンス
2025年現在、本格運用している企業はまだ少数。今のうちにアカウントを開設し、試行錯誤を重ねることで、“発信の余白”を独占できます。特に広告配信が未実装の現段階では、プロモーション色が薄く自然な発信が可能である点も、企業ブランディングに適しています。
さらに、ユーザーとの双方向コミュニケーションを通じて、ブランドが“人間味”を持って語りかける存在として認識されやすくなります。この“トーンの柔らかさ”は、XやInstagramでは実現しづらい価値とも言えるでしょう。
活用で得られる戦略的効果
Instagramへの相乗効果も期待できる
Threadsは単独でのSNS活用だけでなく、Instagramと連動させることでより広い波及効果を生み出します。たとえば、以下のような使い方が効果的です
- ストーリーズやリールなどの切り抜きをThreadsでシェア
- 新規Instagram投稿の更新告知をThreadsで発信
- 過去の人気投稿を再度Threadsで紹介
- 1年前の動画など古いコンテンツの再掲も◎(ユーザーは“いつの投稿か”を気にしていない)
Threadsは「更新頻度」がアルゴリズム上重要な要素とされており、再利用コンテンツでもしっかりリーチが伸びる特性があります。
また、ユーザーとのやり取りがタイムライン上に表示されやすく、返信コメントも1つのコンテンツとして成立します。たとえば「賛否が分かれるような問いかけ投稿」を行い、ユーザーからのリプライに運営側が丁寧に返信していくことで、投稿自体が“会話型コンテンツ”として拡張していく設計が可能です。
さらに、Threadsの「おすすめ欄」はユーザーが積極的に好みを整理することでパーソナライズが進むため、良質な投稿が届きやすい環境が徐々に整ってきています。企業アカウント側でもトレンドタグや話題のフォーマットを取り入れることで、おすすめ欄に載る確率が高まります。
フォーマットも多様に試せるのがThreadsの強みです
- テキスト単体の投稿
- Instagramの再シェア(画像・リール)
- カルーセル風の複数投稿
- 音声や動画の投稿
反応のよかったフォーマットを分析し、積極的に使い分けていくことで、効果的なリーチが狙えます。
そして、2025年からMetaがThreads広告を正式にスタートしたことも見逃せません。これにより、企業案件やプロモーションでの活用が本格化する可能性が高くなっています。Instagramと同様、ブランドアカウントの影響力が広告選定基準にもなることが予想されるため、今のうちにアクティブな運用実績を作っておくことは、将来的な広報活動や協業機会にもつながる布石になるでしょう。
ThreadsはSNS戦略の中で以下のようなポジションを担えます
- ブランドコミュニティの醸成(近距離の会話)
- リアルタイムな情報発信(イベント実況・裏話)
- クロスメディア展開(Instagramストーリーズとの連携やリンク送客)
- 柔軟で先進的なブランドイメージ形成
たとえば、あるゲーム系企業はXでThreadsアカウントを紹介する導線を設け、ユーモアのあるキャラクター投稿でファンの注目を集めていました。 また、アパレル系企業ではThreadsにて商品画像やセール情報を発信し、横スクロール投稿や長尺動画を駆使してコーディネートを紹介するなど、Instagramでは実現しづらい表現にも積極的に挑戦しています。
「Xは荒れやすい」「Instagramは静的すぎる」と感じる企業にとって、ちょうど中間の距離感・温度感を持ったSNSです。
導入のステップと投稿例
基本ステップ
- Instagramアカウントでログイン(新規登録不要)
- プロフィール整備(Instagramと連動するため注意)
- フォロー設定を確認(Instagramフォロワーに通知)
- 初投稿で方針を伝える(例:「社内の話題をゆるっと発信していきます」)
- 週2〜3回のペースで継続運用
- 他SNSとの連携でクロス導線を設計
投稿例
- 今日の社食ランチの話
- 雨の日の出社ルーティン
- ユーザーから寄せられた声に対する返信
- 社員が選んだお気に入り商品ベスト3
- 展示会・イベント参加中の“現場の声”
Instagramよりもフットワーク軽く、Xよりも安全な空間で“会話型SNS”として発信が可能です。特に他SNSと使い分ける戦略を意識すれば、Threadsは「自然体のブランド」や「舞台裏の共有」に最適なチャネルとなります。
運用上の注意点と課題
Threadsはまだ発展段階にあり、以下の点には注意が必要です:
- ハッシュタグ検索・トレンド機能が未成熟:一部エリアでテスト導入中だが、リアルタイムで話題を拾うにはXに劣る
- DM(ダイレクトメッセージ)が使えない:ユーザーとの個別対応ができず、別チャネル(Instagramやメール)との併用が必要
- 投稿アルゴリズムが不透明:表示される基準が見えにくいため、投稿ごとの反応差が大きく出ることがある
- 運用ツールとの連携が弱い:API非公開のため、Hootsuite等の一括管理ツールと連携できない
こうした制約を理解した上で、InstagramやXと補完し合う形でThreadsを組み込むのが現実的です。
今、Threadsを始めるべき
Threadsは発展途上ながら、Instagram連携・実名性・落ち着いた空気感といった独自の強みを備えたSNSです。
Xの荒れやすさ、Instagramの静かさの間に位置する存在として、企業の“会話する場”を新たに生み出す可能性を秘めています。
さらに、広告未実装ゆえにユーザーが広告に敏感でない今こそ、ブランドとして存在感を築きやすいタイミングでもあります。
まずはアカウントを作り、軽く投稿してみるところからでもOK。ユーザーとの新しい接点を築くために、今こそ試す価値があるSNSです。
現在大学で理系を専攻。在学中にSNSやPRに興味を持ち、広告代理店でアルバイトとして実務に携わる。SNSに関わるのは初めてながら、最新のChatGPTを駆使し、GENbaのカスタマーサクセス担当として、スキルを日々磨いている。2025年に株式会社toにアルバイトとしてジョイン。